2014年5月16日 07:00
東京団地ミステリー (1) 神様はどけられない~都営白鬚東アパート
への折り合い方が際立つのもポイントだ。先頃出版された素晴らしい団地本『いえ 団地 まち――公団住宅設計計画史』(木下庸子 植田 実・ラトルズ・2014年)に
"設計とは即、配置でした"
というURの方の証言があって感動した。よく「画一的で個性がない」と言われちゃう団地だけれど、棟が規格化されたおかげで最小の都市としてどのようにレイアウトするか、という部分に注力できるようになったのだ。だから、平面図で見るとひとつとして同じ団地はない。むしろ個別の住宅開発の方が「画一的で個性がない」ようにぼくには思える。
東京という都市がどうして現在のようになっているのか。その秘密の一端を、団地を見ることで解き明かす。だから「東京団地ミステリー」と題したのだ。
うまくいくかどうか乞うご期待。
○都営白鬚東アパートけなげだなあ
で、この都営白鬚東アパートにはどういう「ままならなさ」があるのか? 都市の防災という住宅のデザイン論理とは全く異なる機能のために、長さ1kmを越える壁という形になった、というだけでも充分「ままならない」といえる。(現にこの計画に携わった、都市計画界の重鎮である伊藤滋氏は、2007年に日建設計総合研究所主催の「第235回都市経営フォーラム」