CMディレクター中野達仁に聞く「CM作りの面白さとメッセージの伝え方」
まずは、いろんな制作現場を回って技術を習得して、ようやくCMディレクターについてアシスタントとして動けるようになるんです。今もその体制は変わっておらず、新入社員は赤坂や新橋、白金といったオフィスを回って現場の作業をじっくりと見て習得するんです。そのため、実際に僕のところに新人が入ってくるのは入社後1年程経ってから。徒弟制度もあるので、ある意味"職人"の世界に近いですね。だからストイックな部分もすごく多いですよ」
最初はなんとなくこの世界に入ったと語る中野氏。自分自身でも「なぜCMが面白いんだろう」と考えたこともあったそうだ。そんなとき、他業種の友人から言われた一言が、中野氏の疑問を払拭するきっかけになったという。
「『CMは見たくなくても目に入ってしまうし目に留めるもの。
それがきっかけで全国区で何かが動くってすごくダイナミックだよね』と言われたとき、確かにそうだと思ったんです。メディアとして考えると、ある意味で乱暴かもしれないけど、それが流行ったり言葉が残っていったり、上澄みを取ると"文化"と言えるものが得られるんだな、って改めて思ったんです。そこがやっぱりCMの面白さだし、自分が長くやり続けている理由だと思います」