CMディレクター中野達仁に聞く「CM作りの面白さとメッセージの伝え方」
○時代にあった"普遍的なメッセージ"が求められている
中野氏がCMディレクターとして手掛けた作品は、ベネッセコーポレーションの『たまごクラブ』、『ひよこクラブ』のシリーズやダイハツ工業の『タント』シリーズなど、いわゆるロングランCMが多い。その過程を中野氏は「子育てみたいなものですよね」と説明してくれた。
「CMは商品の名刺を作るようなものだと思うんです。いちばん考えるのは、その商品の"らしさ"ですね。僕らの言葉で『シズル』と言うんですが、CM作りは『いちばんシズるやつ』が正解だと思っているので、それをずっと考えています。たまたまいくつかのロングランCMに携わっていますが、これは商品自体の核がしっかりあったからこそ。でもときどき、出会った瞬間に相性の良さが分かる商品やブランドがあって、そうすると商品力との相乗効果で長く続くCMになっていた……ってこともありますね」
と謙遜する中野氏だが、その視点はいつも温かくヒューマニズムに溢れている。それが中野氏の個性となり、企業が指名する理由のひとつにもなっているのではないだろうか。
そこで中野氏に最近注目しているCMを聞いてみた。すると、「普遍的なものを今の時代にフィットさせたCMはやっぱり面白い」