CMディレクター中野達仁に聞く「CM作りの面白さとメッセージの伝え方」
との回答。昔からある企業スピリッツを今の時代にあえて出す。そして、その手法を現代にあったタッチにすることで、企業そのものの先進性と堅牢性という相反するふたつの面をうまく伝えているCMに着目しているそうだ。
「秒数で言えばたった15秒でも、時代にピタリと合ったときに『力をもらった』とか『元気が出た』と印象を残せるCMってありますよね。そもそもブランド広告は、買ってもらうために作るのではなく好かれるために作っているんです。だからブランド広告はブランドの顔作りでもあるんですね。特に2011年は東日本大震災という企業活動にも影響を与える大きなことがありました。その影響かどうかは分かりませんが、CMで訴えかけるメッセージがこれまでの傾向だった"癒し"から"アドレナリンが出るもの"に変わってきたように感じます」
もうひとつ、中野氏がこだわりを見せたのが「言葉のチョイス」だ。
これは先に挙げたメッセージの出し方にも通じるが、「生きている言葉」にこだわった台詞やコピーを生み出すために現場で話し合いが持たれることも多いとのこと。「普遍的なメッセージを今届くやり方で伝えることが大切なんだと思います。伝えたいことがあるなら意味が通じないとダメですし、その言い方のモードを調整するダイアルも必要。