映像業界で日本と世界をつなげる架け橋に――“クリエイトベース”の雨無麻友子Pが感じる構造的問題と期待
と、オファーの背景を明かす。
ここで筆者の脳裏に浮かんだのはやはり、ドラマ『セクシー田中さん』の騒動だった。
●若手がオリジナル作品に挑戦する機会が削がれている
ここ長らくテレビドラマでは漫画原作の作品が多い。これについて、雨無Pはこう分析する。
「若手クリエイターが“監督”としての経験を積む場が、深夜ドラマに限られることが多いんです。深夜ドラマは低予算であるため、リスクを抑えるために漫画原作を選ぶ傾向が強い。これにより、オリジナル作品ではなく原作物の制作が主流となっています。オリジナル作品を作りたい若手クリエイターも、経済的な事情や仕事の継続性を確保するために、安定した収入が得られる漫画原作の深夜ドラマを選択せざるを得ない。
“原作ありき”の制作環境に押し込められ、オリジナル作品に挑戦する機会が削がれているわけです」
いわば制作現場の構造的問題だ。その状況を「一概に悪いとは言えませんが…」と雨無Pは続ける。
「私がオリジナル作品が多いのは、どうしても漫画原作者さんとのコミュニケーションが難しいからです。やはり漫画は作品が練られており、その素晴らしい原案を頂いて一緒に作品創りをさせていただくというのは、急にオリジナル脚本を作るより、それだけ素晴らしい作品になる。