映像業界で日本と世界をつなげる架け橋に――“クリエイトベース”の雨無麻友子Pが感じる構造的問題と期待
ですが、一度漫画というプラットフォームで出されているものを実写に適正化するのは難しい。私自身、原作者の方とどうコミュニケーションしていったらいいのだろうかというのは今も探っている状況です」
実際、実写化に成功した作品も多い。だが、過去に向田邦子賞のオフィシャルライターをしていたことがあった筆者は、脚本家の人々が「オリジナルドラマが増えなければ若手が成長しづらい」という業界の悩みをつぶやいていたのを聞いたことがある。
雨無Pは「脚本家、監督でも巨匠の方々と違い、若手だと制作期間の短さがネックになり、長く練り込んで内容を作る時間にしっかり対価を払うには潤沢な資金が必要不可欠になります。そういったルートを私は作りたいですし、業界がこの状況を課題だと思うようになってもらいたい」と力を込める。
○製作委員会方式でもクリエイターに権利を
制作現場の構造的問題の背景には、「製作委員会方式」の課題も浮かぶ。この方式では、資金を提供する企業(出資者)が権利を多く保有し、実際に作品を制作するクリエイターや制作チームに十分な権利が渡らないのだ。多くの企業が出資する製作委員会形式では、意見が多様すぎてクリエイティブな決定が妥協や平均化されやすい。