映像業界で日本と世界をつなげる架け橋に――“クリエイトベース”の雨無麻友子Pが感じる構造的問題と期待
重村さんの言葉の裏にはそういったニュアンスがあるのではないかと思います」と推察した。
○『SHOGUN 将軍』の成功は「第一歩に」
こうした多くの課題が潜む中、『SHOGUN 将軍』の成功も受け、雨無Pは「日本の独自性を生かした作品作りは今後の海外マーケットへ向けての第一歩になりそうです。そもそも日本は職人気質で練り込んで作るのが得意。そうした歴史的な性質や建造物をロケーションで生かしたり、そうした文化や風景を生かす。時代劇もそうですが『ブレードランナー』的な取り扱い方(※)もあるはず。グローバルな配信プラットフォームの拡大により、世界に見られることが作品の幅も広げるのでは」と語る。
(※)…『ブレードランナー』の劇中には、日本語の看板・広告が多数登場する
過去にドメスティックに成功したがゆえにさまざまな課題を抱えてしまった日本の実写映像業界。そのメソッドに触れてこなかった雨無Pのような若手が、今の状況をどう生かしていくか。
邦画、テレビドラマの今後の世界展開に期待したい。
●雨無麻友子1994年東京都生まれ。青山学院大学在学中に映画祭を主宰し、17年にLDSへ入社、映像事業部でドラマ・映画のプロデュースに携わる。