『ロケットマン』監督が音楽映画ブーム分析 エルトンとフレディに感じた“孤独”も
ある一点に焦点を絞って描いていくことが大事だと思っているよ。
――『ロケットマン』で柱として考えたのは、どんなことでしょうか。
もっとも力を入れたのは、ハートの部分だ。実際に起きた出来事をそのまま描くのではなく、そのときの感情を映し出すこと。例えば、トルバドールでやったアメリカでの初ライブシーンでは、エルトンや観客が浮き上がっていく演出をしているけれど、もちろん実際にはそんなことはないしね(笑)。何か大変な、マジカルなことが起きている。そういった感情、ハートを描きたいと思っていたんだ。
――エルトン役を、『キングスマン』シリーズのタロン・エガートンが演じています。
歌唱シーンではタロンがすべての楽曲を自らの声で歌い上げています。実際に歌唱してもらうことは、エルトンのハートを表現する上でも欠かせなかったことでしょうか。
確かにキャスティング段階でも、タロンが歌を歌えるとういうことは大きなポイントだった。音楽の伝記モノにもいろいろあって、それぞれ音楽の使い方も違うし、口パクだったりする映画もある。でもエルトン・ジョンというペルソナの下にある素顔や、胸の内を表現するためには、本当の歌で伝えてほしかった。