奥様はコマガール (34) 妻の無駄遣いは食器にあり
チーはホットミルクを六割程度飲んだあと、そのマグカップをダイニングテーブルの上に置き、再びパソコンの前に座った。
どうやらネット遊びの後半戦が始まったようだ。
さっきの梅酒を飲むのかな? そう思って注視してみたものの、チーはそれにも手をかけなかった。
もちろん飲み残したウーロン茶にも目もくれず、一心不乱にキーボードを叩いている。
きっとフェイスブックなどを通じて、誰か友達と交信しているのだろう。
何がおもしろいのかはまったくわからないが、なぜか薄ら笑いを浮かべていた。
いつのまにか深夜2時ごろになり、そろそろ寝ようという段になった。
チーはテレビやパソコン、部屋の電気などをすべて消し、いよいよ寝室に向かう。
結局、ウーロン茶のコップも、梅酒のコップも、ホットミルクのマグカップも、すべて飲み残したまま、部屋のあちこちに放置されている。
夜の食器洗いが終わったあとの短時間で、一気に3つもコップ類を消費するとは、なかなかいい度胸である。
これを洗うのは僕なのだ。
すると、チーは寝室に向かう途中で、はたと足を止めた。
何かを思いついたように高速回転で踵を返し、再びキッチンに戻る。