岩本沙弓の”裏読み”世界診断 (10) 「人民元」変動スピードをいかに抑えるか? 日本が”反面教師”の中国通貨戦略
4月14日のことになりますが、中国人民銀行(中央銀行)は米ドルに対する人民元の変動幅を現行の基準値の上下0.5%から、1.0%に拡大することを発表しました。
現在、人民元は部分的な変動を認める管理フロート制の中でも、主要貿易相手国の複数通貨を加重平均して為替レートを算出するバスケット方式を採用しています。
過度な為替変動が起こらないように、これまでは前日の為替レート±0.5%までの動きまでを許容範囲としていて、それ以上動いた場合には中央銀行が為替介入を実施してきました。
人民元はかなり通貨安の水準となっていると指摘されてきたのはニュースなどで聞かれたことがあるかと思います。
そのため、これまでは元高の圧力が常にかかってきました。
為替市場ではドル売り・元買いが優勢となりますので、放っておけば急激に元高が進んでしまう恐れがあります。
それに対して中国の通貨当局は1日の変動幅に収まるまでひたすら米ドル買い・元売りで対抗するのです。
ちなみに、こうして買われた米ドルは中国国内に蓄積されていきますが、それが外貨準備高と言われるものです。
溜まりに溜まった中国の外貨預金高は今や3兆3,050億ドル(269兆円、2012年3月時点)