奥様はコマガール (43) 夫婦喧嘩と愛情表現の狭間
チーはメニューを見ながら、そんな質問をしてくることが多い。
一方の僕はそんなチーの質問にまともに取り合わず、「好きにしいや」と乾いた口調で一蹴することになっている。
しかし、それでもチーは「じゃあ、ビールにしよっかなあ。
ねえ、ビールでいい? 」としつこく同意を求めてくるわけだ。
「だから、好きにしいって言ってるやん。
自分の飲み物なんやから、俺に同意を求めてこんでもええやろ」「そうなんだけど、迷っちゃうから」「早く決めえや」「よし、決めた。
ビールにする」「じゃあ、早く頼みな」「ええ、でも2人とも(店主と女将さん)忙しそうだし……」「そんなこと気にしてたら、いつまでたっても注文できへんやん」「いやあ、やっぱり気が引けるなあ」「だったら、頼まんかったらええやん」「けど、飲みたいし……」「だったら、早く注文しいや」「ねえねえ、代わりに注文してよ」「なんでやねん! 」と、まあ、こんな感じである。
会話が後半に進むにつれ、僕の口調はどんどん荒くなっていく。
こういったチーの意味不明な言動は以前から日常茶飯事だったため、つまり僕の中でも慣れっこになっているため、いつのまにか言葉に気遣いがなくなっているのだ。