奥様はコマガール (43) 夫婦喧嘩と愛情表現の狭間
他にも、チーのノロマさに辟易した僕が「早く歩きいや! 」「早く食べえや! 」「早く帰り支度しいや! 」と毒づくことも多く、はたまたチーの声の小ささに対して「えっ、何言ってるか、全然聞こえへん! 」「声が小さい! もっと大きい声で喋りいや! 」と語気を強めることも当たり前のようにある。
そう考えると、確かに傍からは僕がいつもチーを怒鳴っているように見えるかもしれない。
チーの胸中が心配になるのもうなずける。
また、僕らは人前で互いのことをあまり褒め合わないという理由もあると思う。
チーがどう考えているかは別として、少なくとも僕自身は人前で妻にやたらと優しい物言いをしたり、気遣いを見せたり、あからさまな褒め言葉を口にしたりすることに、何とも言えない恥ずかしさを感じてしまう。
だから、つい人前では照れ隠しで冷たい態度をとってしまうのだが、もしやそれが他人からは「怖い夫」に見えるのかもしれない。
実際、最近僕が出会う同世代の夫婦を見ていると、みんな人前なのに互いに優しく、気遣いも行き渡っている。
先日もそうだった。
前述の馴染みの居酒屋でたまたま同席した若夫婦の様子に衝撃を受けた。