2012年5月17日 11:47
岩本沙弓の”裏読み”世界診断 (12) ”ディーラー的”な「ユーロ」に対する見方とは? - 危機の再燃は当然だった!!
初めて今回のLTROについて報道がされたのは2011年11月24日のことでした(http://jp.reuters.com/article/treasuryNews/idJPnJT803365220111124)。
その決定が欧州の政策金利0.25%の引き下げとともにECB理事会から公式発表されたのが12月8日です。
しかし、市場は利下げ幅が小さいこと、LTROも事前の予定通りということで、むしろECBの決定に失望し、通貨ユーロや欧州の債券を盛んに売っていました。
ここに「LTROの効果」とそれに対する「市場の認識」に大きなギャップが生じたと言えます。
つまり、市場参加者は見方を間違ったのです。
こうした市場の間違いというのは実はよくあることで、だからこそレートが上下動すると言ってもよいでしょう。そして、市場参加者の思惑と実態との乖離にいち早く気が付いて取引をし、収益を上げるというのがディーラーの仕事の1つでもあります。
結局はこのLTROによって「経済の血流=お金の流れ」が止まってしまう、経済システム自体の破綻という最悪の状況を何とか避けることができたのです。
したがって、最悪の状況によってもたらされる欧州の金融機関の破たんや域内の国のデフォルトの可能性も消失しました。