2012年5月17日 11:47
岩本沙弓の”裏読み”世界診断 (12) ”ディーラー的”な「ユーロ」に対する見方とは? - 危機の再燃は当然だった!!
という状況になりかねません。
通貨ユーロの崩壊まで最悪のシナリオを市場が織り込んでしまったのが今年の1月中旬。
やがてユーロの崩壊や再編の可能性はあるにしても、それが実際に今年の1月に起こるわけではなかったために、悪い材料を先取りして動いてしまった分は、そうでなかった場合、元に戻ってしまうのです。
それが2012年年初までのユーロ売り、その後のユーロの買い戻しの動きです。
昨年後半、欧州の金融機関の破たん、あるいは欧州域内の国のデフォルトなど最悪の結果を予想しながら、為替市場で市場参加者のユーロ売りが過度になりつつある時に、登場したのが「LTRO」でした。
これは資金不足となっていた金融機関の目先の資金繰りの改善には非常に効果的な政策です。
資金調達の難しかった欧州の銀行は、保有する債券をECBに持ち込めば、それを担保にお金を借りることができるのです。
しかも、通常こうした担保として適格とされるのは国債など安全なもののみと限られていますが、「LTRO」では担保として認める債券の種類の基準を大幅に緩めたのです。
言うなれば、これまで何の役にも立たないと思われたただの紙切れまでもが、突如お金の代わりになったのですから、その効果は絶大です。