2012年5月4日 12:45
奥様はコマガール (44) 妻の急病(1)~夜間診療への怒り~
本当に気に留めていなかった証拠だろう。
ところが昼過ぎになって、チーから「会社を早退する」というメールが入った。
なんでも仕事中に気分が悪くなり、みるみる体温が上昇したという。
そのときの僕は仕事で外出していたため、帰宅したチーの顔色を見ることができなかったのだが、それでも焦りはなく、夜に帰宅してから対応すればいいだろうと思っていた。
我ながら呑気な男だ。
すると夜7時ごろになって、僕のケータイにチーからメールが入った。
なんでも熱がますます上がり、ついに39度を超えたという。
食欲もなく、全身の倦怠感もひどいため、仕事が終わったら夜間診療の病院に連れて行ってほしいと訴えてきたのだ。
今思えば呑気な自分がほとほと嫌になるが、僕はここにきてようやく狼狽した。
大人で39度を超える熱なんて滅多に聞かない。
ましてや、これまでのチーにもまったく見られなかった症状であるため、これは僕が勝手に決めつけていた女性特有のホルモンバランス云々の問題ではないだろう。要するに、「いつものこと」ではないのだ。
かくして仕事が終わると、僕はタクシーを飛ばして帰宅した。
電車で帰宅しても、かかる時間はそんなに変わらないはずだが、それでも咄嗟に運賃の高いタクシーを選んでしまう。