2012年5月4日 12:45
奥様はコマガール (44) 妻の急病(1)~夜間診療への怒り~
今さらながら湧いてきた焦りが、冷静な判断力を麻痺させたのだろう。
帰宅すると、チーは予想以上に衰弱していた。
顔色が異様に悪く、全身にまるで生気がない。
僕は急いでチーを再びタクシーに乗せ、近くの救急病院に搬送した。
僕らが住む界隈では有名な、老舗の総合病院。
ここなら夜間診療でも受け入れてくれるはずだ。
病院に着いたのは午後9時を過ぎたころだ。
夜間受付で症状を訴え、内科に伝えてもらう。
その際、初診の患者には通常の医療費の他に「選定療養費」という名の別途費用がかかる旨を説明され、それが3,000円もしたので、一瞬戸惑った。
はて、選別療養費? なんだそれは。
初めて聞く名前だ。
通常の保険診療の費用だけでは済まないのか。
もっとも迷っている暇はない。
こちとら自分たちだけではどうにもできないから、藁をも掴む想いで救急病院に望みを託したのだ。
それでチーが回復するなら安いものだ。
その後、チーは内科に通され、まずは看護士のもとで一応インフルエンザの検査を受けた。
その結果、インフルエンザではないとわかり、いよいよ医師の診察に委ねられる。
救急の夜間診療のためか、院内に他の患者の姿は見当たらない。