くらし情報『読む鉄道、観る鉄道 (8) 『東京駅物語』 - 明治、大正、昭和…、小説に息づく東京駅と人々の生活感』

2012年5月13日 08:46

読む鉄道、観る鉄道 (8) 『東京駅物語』 - 明治、大正、昭和…、小説に息づく東京駅と人々の生活感

東京駅を訪れるとき、もしかしたら自分もこの物語の登場人物たちとつながっているかも……。

そう考えると楽しい。

その意味で同作品は、未来永劫続く「東京駅物語」の序章ともいえるだろう。

1890年代、東海道本線の新橋駅と、日本鉄道(後の東北本線)の上野駅を結ぶ高架鉄道が計画された。

東京駅はその途中駅で、国を代表する中央駅として建設。

設計は辰野金吾事務所で、その名は同作品にもある。

登場人物に辰野事務所と、そのライバル、宍戸肇事務所の設計士たちもいる。

誕生時の東京駅の構造は、乗車口ひとつ、降車口が汽車用・電車用にひとつずつ、そして皇室用の乗降口がひとつあったという。


開業時の丸の内側は広大な野原であった。

こういう情報は、資料をひも解けば書籍や鉄道雑誌の記事など、いくらでも見つけられるだろう。

同作品では、登場人物が「乗降口と降車口が別なんて不便」と言っていたり、「三菱が原」と呼ばれた野原に少しずつ建物が増えたり、新しいビルの前に行き倒れがいたり、着物から背広に着替えて闊歩する詐欺師がいたりする。

人間模様を描きつつ、当時の人々にとっての旅や東京駅に対するの価値観が描かれていて、興味深い。

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