岩本沙弓の”裏読み”世界診断 (14) CIAの誘いを断った”最後のサムライ”の渾身の書 - 『國破れてマッカーサー』
先生は米国留学中に米国政府の重要文書が全て保管されているアメリカ国立公文書館に出向き、日本の戦後に関する資料を網羅した最初の人です。
なぜ最初と言い切れるか。
米国では機密文書の全面公開は30年後とされています。
30年経過した日本占領に関する生の史料を入れた数十にも及ぶ箱の上には、うっすら埃(ほこり)が積もっていたといいます。
指紋がついていない箱の中身は、30年後に先生を通じて息を吹き返すことになるわけですが、開封する時には「生き埋めにされている日本の歴史に対する畏敬の念」で気持ちが高ぶったと書かれています。
歴史的に重要な生資料だけで「話」を進めてゆくように努力した-そう指摘されているように、「はじめに」と「おわりに」を除いて恣意性を極力排除した筆致が続きます。
抑制の利いた文章であるにもかかわらず生の史料が訴える力は強いものです。てっきり筆者の主張のように受け取っていたことが、実は読み手である自分の思いが反映されての錯覚だったという箇所を、何度となく読み返すうちに気が付きます。
私がディーラーとしての道を進むことを決意して、転職した先の外資系銀行で出会った叩上げディーラー(今でも現場で第一線におられますので、性別・国籍も含めご本人のプライバシーに関わる記載は避けます)