読む鉄道、観る鉄道 (12) 『旅の贈りもの 0:00発』 - ぶどう色EF58とマイテ49のミステリートレイン
実際にはこんな旅なんか経験できない……、と思いつつ、いや、もしかしたら似た体験はできるかもしれない、とも思う。
脚本の篠原高志氏は旅行会社勤務からの転身で、仕事での経験が生かされているだろう。
ラストまで見終えた後、「旅に出たいなあ……」と思う作品だ。
この映画を見せれば、友達を旅に誘うきっかけになるかもしれない。
ミステリー列車を牽引するのはEF58。
1946年から1958年までに172両も製造された直流電気機関車だ。
戦後生まれで、日本の復興とともに増備された。
当初は真四角な箱型だったけれど、1952年に大幅なモデルチェンジを受け、流線型の車体になった。
登場の背景には、高崎線の電化や東海道本線の全線電化がある。
高性能な電気機関車が大量に必要となって、高速型のEF58の増備が続いた。
その優美な姿から、特急列車の牽引機として活躍。
ブルートレインやお召し列車にも起用された。
客車のうち前方1両は12系客車。
団体列車用に約600両も作られ、青地に白い帯のブルートレイン塗装だった。
映画に登場するスハフ12 702は「SLやまぐち号」に使われる車両で、レトロ風のぶどう色塗装だ。