経済キャスター・鈴木ともみが惚れた、”珠玉”の一冊 (24) ”成長”し続けなければならない苦しみとは? 山田玲司氏『資本主義卒業試験』
そこに、試験の単位が欲しいと女子大生の赤星リコが懇願しにきます。
山田 : そうですね。
登場人物一人ひとりが加わります。
次に出てくるエコの国から来た鈴木大地というキャラクターは私の友人をイメージしました。
鈴木 : この鈴木大地という人物の苦悩に共感される方は多い気がします。
苦悩と言う点では、次に登場する黒沢という人物も中年サラリーマンが抱える典型的な失望と葛藤に苛まれていますよね。
山田 : はい。
黒沢を始め、登場人物たちは資本主義社会の歯車に巻きこまれ、根本にあったはずの「自分」がどんどんブレていき、不安や苛立ちや苦悩を抱えてしまうのです。
商社マンの黒沢はその象徴的な例かもしれません。
鈴木 : そして、主要な登場人物が出揃ったところで、一行はラピスという案内人に導かれ、『資本主義ランド』へとたどり着きます。
そこには『ネバーエンディングストーリー』のもと、お城のなかに住むお姫様が登場し、「夢」や「欲望」を叶えることの大切さを説きますね。
続いて登場するのが根拠のない、絶対無敵のヒーロー・ビクトリス。
「努力すれば必ず勝利する」という思想を披露します。