2012年9月14日 12:19
奥様はコマガール (62) 夫婦間の羞恥心とストリッパーの本音
独身時代の僕は、恋人同士の同棲や寮生活といったいわゆる赤の他人同士の暮らしというものを経験したことがなかった。
血縁以外の人間と同居するのは現在の妻であるチーとの暮らしが初めてであり、だからこそ、今まで気づくことがなかった自分の人間性をあらためて実感することも少なくない。
結婚とは、すなわち自己発見なのかもしれない。
中でも自分自身がもっとも驚いたのは、洗面所での理不尽な心境である。
これを説明してどこまで伝わるかはわからないが、なぜか僕の中には「洗面所にいる姿を誰かに見られたくない」という、わけのわからない性格が潜んでいるのだ。
たとえば外出先から帰ってきたとき、僕が最初にすることは洗面所での手洗いとうがいである。
その後、コンタクトを外して、家の中でのリラックススタイルを完成させるわけだが、この行程の途中でチーが洗面所に入ってきたら、さあ大変。
どういうわけか僕の胸がざわざわと波打ち、得体の知れない嫌悪感が台風のように襲ってくるわけだ。
かくして、人間ができていない僕は洗面所に途中入場してきたチーに対して、露骨に不機嫌な態度をとり、時には「ちょっと向こうに行っててくれ」