土用丑の日、高価な「うなぎ」にビックリした人が多かったでしょう。うなぎはなぜこんなに高くなったのでしょうか? 簡単に言えば「不漁」だからですが、うなぎの生態には謎の部分が多いとのこと。うなぎについて、東京大学、大気海洋研究所の塚本勝巳教授にお話を伺いました。塚本教授はうなぎの生態に関する世界的権威です。
■まず「うなぎ」に関する基礎知識
まず、うなぎは「回遊魚」です。海で産まれますが、淡水の川までやって来て遡り、そこで成長して暮らします。そして産卵時期になると川を下り、海に出て卵をうみます。卵から帰った仔魚が成長して川に戻り……これの繰り返しで世代をつないでいきます。
うなぎの卵は直径約1.6ミリと、とても小さなものです。卵から孵った(かえった)ばかりのうなぎの赤ちゃんは、約3ミリの「プレレプトセファルス」と呼ばれる仔魚(しぎょ)。これが餌を食べ始めると「レプトセファルス」になります。レプトセファルスは柳の葉っぱのような形をした透明な仔魚です。扁平でぺらぺらしていますが、これが陸地に近付くにつれ成長して約60ミリになると変態して「しらすうなぎ」になります。しらすうなぎはまだ稚魚の状態で体色も透明です。