捕獲したアパリアスという海鳥を数十羽~数百羽、内臓をすべて抜いたアザラシの腹に詰め込み、腹を縫い合わせます。そのあとアザラシの脂を表面に塗って地中に埋め、2カ月以上発酵させます。ころ合いを見計らってアザラシを掘り出し、腹から海鳥を取り出します。食べ方が壮絶で、どろどろに発酵した海鳥の内臓を総排泄腔(鳥は肛門管と排卵管が体内で1つに合流する)に口をつけてすすって食べるのです。北極圏で貴重なビタミン類を補給するための大事な発酵食品ですが、世界でも最も臭い食べ物のひとつとして知られています。
日本の「鮒ずし」なども発酵保存食ですが、発酵食品は酸っぱくなる、においが強烈になるなど「癖」が出ます。なんとか、そういった癖を出すことなく保存食はできないのか。人間は保存方法を工夫します。
それが「瓶詰」や「缶詰」です。
■瓶詰食品はもともとナポレオンの懸賞に応えたもの!
缶詰はもともと軍用に作られたものでした。1804年にあのナポレオンが懸賞金を出しています。ヨーロッパのあちこちに転戦したナポレオンは、常に補給問題に悩まされていました。そこで「誰か食料の保存方法を考えよ」という懸賞を出したのです。ニコラ・アペールという食品加工業者が「瓶詰」