2012年12月23日 13:10
【エンタメCOBS】もしも科学シリーズ(27):もしもタイムマシンを作るなら
H・G・ウェルズの傑作SF小説「タイム・マシン」が発表されたのは1895年。いまでは定番のネタだが、100年以上前の人びとにとって衝撃的なテーマだったに違いない。
もしもタイムマシンを作ったらどうなるのか?理論物理学者ポール・デイヴィスが、著書「タイムマシンをつくろう!」で詳細な作り方を記しているが、ワームホール、負のエネルギー、時間順序保護仮説など未知の要素に満ちあふれ、命がけの時間旅行になりそうだ。
■引き出しのなかのブラックホール
タイムマシンは大別して3種類あり、もっとも手ごろなのはタイムカプセルだ。アインシュタインの相対性理論に従い速度か重力を用いて時間の流れを遅らせ、実際よりも早く未来に到達する方法だ。速度を利用するなら人工衛星で地球を周回し続けるだけで良い。
およそ秒速8kmで地球を周回する国際宇宙ステーションなら、2年間滞在すると地球上よりも約50分の1秒遅くなる。GPS用の人工衛星も、地上時間に合わせて「進む時計」を使っているぐらいだから、あとはどれだけ光速に近づけるかが焦点だ。
重力を使うなら大質量天体を利用しよう。地球の300倍以上の質量を持つ木星ぐらいの天体を用意し、半径6mぐらいまで圧縮し、くりぬいた内部の空洞で生活する。