漫画を読んで手に入れたのは、生きやすさと優しい気持ち
そして、妙に生真面目な性格から仕事や勉強を優先しがちだった私だが、誰かに恋焦がれ真っ直ぐに思う生き方をしてもいいんだと許された気分になった。
■"気にしい"だった自分を解放してくれた『凪のお暇』
次に好きになった作品は、コナリミサトさんの『凪のお暇』。主人公は周りの空気を読みすぎなOL・大島凪。会社では雑用を押し付けられ、同僚からは愚痴のサンドバッグにされ、プライベートでは彼氏からモラハラをされる散々な日々を送っていた。
凪は、あることをきっかけに仕事も人間関係もすべてて投げ出しリセットを試みる。他人の顔色を伺う性格も変えたいのだが、なかなか変われない。疲れ切った彼女がひとり自宅で食べるのが、ツナ缶と豆苗の炒め物。私はこのシーンが大好きだ。
(C)コナリミサト(秋田書店)2017
誰かに見られたらちょっぴり恥ずかしい”節約飯”だが、凪はこの豆苗炒めをとても幸せそうに食べる。モラハラ彼氏には豆苗を育てて食べるのを「貧乏くさい」と批判されていたが、このシーン以降、やっと好きなものを自分のために大事にできるようになり、より心が豊かになった感じがした。
私も若い頃は、他人に嫌われないよう自分を偽ることが多かったので、凪には強い懐かしさを覚えた。