映画『日日是好日』で樹木希林さん演じるお茶の先生が教えてくれる、“今を生きる歓び”とは?
時は流れ……典子がお茶を始めて十年が経った。
美智子は結婚し、ひとり残された典子は、中途採用の就職試験にも失敗し、お茶でもお点前の正確さや知識で後輩たちに抜かれてしまい……。
◼︎描かれるのは、お茶と過ごしたひとりの女性の人生
真面目で、理屈っぽくて、おっちょこちょい。
本作では、そんな主人公・典子が二十歳でお茶を習い始めてから45歳になるまでの歳月が描かれます。
雨の日は雨を聞く。雪の日は雪を見て、夏には夏の暑さを。冬は身の切られるような寒さを。就職の挫折、失恋、大切な人との別れ……。
ひとりの女性が大人になっていく過程が、五感を使って全身でその瞬間を味わう”お茶”と共に丁寧に切り取られてゆきます。
◼︎樹木希林さんの名演はスクリーンで
典子にお茶の作法や道具についてだけでなく、お茶を通じて知ることができる”今を生きる喜び”をも教える武田先生は、まさに樹木希林さんにぴったりの役柄。
稽古初日、意味も理由もわからないお茶の所作にとまどう典子と美智子に、武田先生は「意味なんてわからなくていいの。お茶はまず『形』から。先に『形』を作っておいて、その入れ物に後から『心』が入るものなのよ」