知人の俳優は、あるときから脇の毛を剃らなくなった。その話を人にすると「どうして?」と絶対に聞かれるらしいのだけど、彼女自身の答えはシンプルで、「剃らないのが自然だなって思ったから」。
「特に強い思想とか信念とかあってやってるわけじゃないんですけど、なんか生えてくる毛をそのままにしてたらすごい反社会的な人みたいに見られるんです」。彼女はそう言って笑いながらちょっと困った顔をしていた。
ミックスバーで働いている友達は、お店に立つときは必ず女装をしている。胸元が大きく空いたセクシーなミニドレスをいつも着ていて、終電を逃しちゃって一緒に回転寿司を食べに行った朝も、彼女はそのドレスで街を歩いた。
写真撮影を頼まれたりするたびにいいわよ、と胸を寄せてポーズをとる友達は、自分の理想とする女の子像を体現するためにそのファッションをしているという。もともとのバストが大きいのがチャームポイントだとあるとき気づいて、だんだんとそれを生かした服を着るようになったのだと教えてくれた。
女装は「女の子として生きる手段」だと彼女は言う。
たぶん、露出をする、ということにも彼女たちと同じようにスタンスや信念のグラデーションがある。