フランス人監督が鋭く切り込む、ドキュメンタリー映画「世界が食べられなくなる日」
昨年9月に公開され、話題を呼んだドキュメンタリー映画「モンサントの不自然な食べもの」に続き、今年6月に再び遺伝子組み換え食品の実態に迫るドキュメンタリー映画が公開される。
一瞬ドキリとなる、そのタイトルは「世界が食べられなくなる日」。
監督は「未来の食卓」「セヴァンの地球のなおし方」などで知られる、フランス人のジャン=ポール・ジョー。彼は自らが結腸がんを患ったことをきっかけに、カメラを通して、食の重要性を強く訴え続けている監督だ。
本作で扱う題材は遺伝子組み換え食品とさらにもう一つ、原子力である。
いずれも20世紀に生まれたテクノロジーで、よく似た特徴を持っている。
それは「後戻りができないこと、すでに世界中に拡散していること、そして生物の体内に蓄積されやすいこと」だ。驚くべきはこの2つを開発したのは米国を中心とする250の同じ企業グループで、世界の半分もの富を支配するのだという。
カメラは、フランスのカーン大学教授による、あるラットの実験を追い続ける。米国モンサント社の遺伝子組み換えトウモロコシ「NK603」と除草剤「ラウンドアップ」を組み合わせて、2年間ラットに与え続けるという実験だ。
2年はラットの寿命に相当する。現在、遺伝子組み換え食品の安全基準は「ラットに遺伝子組み換え作物を3ヶ月与え続けても問題がないという実験結果」を元にしている。ラットの3ヶ月は、人間の寿命に置き換えると10年。つまり、人間が一生摂取した場合の安全基準には何の役にも立たないということだ。
実験中、ラットは3ヶ月のうちは元気に生きている。ラットに異常が出始めるのは4ヶ月目からだ。
そして月日を重ねるごとに、ラットの多くに腫瘍ができ始め、それがこぶのように肥大化していく…。