「見て、感じて、自由に解釈すればいい」葵・フーバー・河野さんに聞く、絵本の楽しみ方
■生活と遊びで培われた色彩感覚
独特の色彩感覚はどこから生まれたのか、影響を受けたものなど、子どもの頃はどうだったのでしょうか?
「私が子どもの当時、絵本はほとんどありませんでしたが、1冊だけ、ミッキーマウスの本がありました。すごくきれいなグリーンだったのは覚えています。私は形よりも色のほうが記憶にあるんです。
子どもの頃は戦争もあったし疎開もして、とにかく物がないから、海で石を取ったり、着物の端切れをチクチク縫ったり貼ったりして。食堂ごっこをするのが楽しくて、葉っぱでホットケーキとか、色のついた紙を切って中に石を入れたり、キャラメルに見立てたり、そういう遊びをしていました。
物がなければないで、工夫して楽しめるものです」
「マリメッコ」の洋服など、葵さんがお気に入りの生地の端切れは、資料的にきれいに取っているそう。あまり布で作った鳥やうさぎなどの人形も。
「色感は持って生まれたもの。
同じ環境でも色感って違うし、絶対真似はできない。体が要求する、体質的なものだと思います。
ただ、個人的に黒色は、そこに穴が空いたように見えるから、使うのは苦手ですね」
スタジオ・プントビルゴラの、葵さんのデスク。北欧デザインなど、カラフルな色であふれています。
最後に、絵本を通して伝えたいことを伺いました。
「子どもというよりお母さんに伝えたいのですが、日本はいま、いい意味でも悪い意味でも、物が多い。情報も多いし、お母さんは選ぶのが大変じゃないかなと思うんです。それに、望みと関係なく情報が入ってきちゃうのは、子どもにとっても良くないと思います。
絵本も『わからせよう』と説明しすぎるのではなく、ある程度放っておくのも大事。そうしていると、子どもも自然と感じてくるし、案外面白い見方をするかも。絵も好きか嫌いでいいんです。頭から順番通りでなく、終わりから見てもいいと思いますよ」
(取材・構成:赤木真弓)
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