「見て、感じて、自由に解釈すればいい」葵・フーバー・河野さんに聞く、絵本の楽しみ方
■考えて、話し合うきっかけに
先頃発売となった『あいであ』は、平和に楽しく暮らしている動物たちの村に、突然事件が起こる、というお話。動物たちは話し合って、“あいであ”を出し合い…。この話の原案は40年前からあり、これまで日の目を見なかった1冊だったのだそう。
「原画を出版社に渡すとき、『もしかしたら、失くされてしまうかもしれない』と思って、昔はコピー機がないから、鉛筆で全部下書きを描いたんです。それがあったからできた本。
絵を描くのは遅くはないと思いますが、これは1ヶ月~2ヶ月くらいかかりました。
細かい葉っぱを描くのに時間がかかりましたね」
当時、鉛筆で写した原案と、編集者とやりとりしたFAX、原画など。
「これは、スイスので、うちで飼っていた猫がいなくなり、村の猟が趣味の人に撃たれてしまったかもしれないと思ったことがきっかけでした。本を出して、そういうことを防止しないと、と思って考えたんです。
でも、今は地震や原発といった、それより怖いものがたくさんあるので、お話をちょっと変えて、編集の方とやりとりをしてストーリーを決めました。
問題から逃げても解決はできないけど、話として終わりがないと具合が悪いので、最後に自然エネルギーを思わせるページを加えたんです」
みんなでアイデアを出し合うこのページは、葵さんのお気に入り。
必ずしもハッピーエンドだけがいいことではなく、「みんなにとっての大問題は、逃げても解決はない。でもみんなで、本気で考えることが大事」ということをテーマにしたかったと話します。そんな葵さんは、ご自身の絵本をどのように読んで欲しいと考えているのでしょうか?
「私は絵からアイデアを考えて、後から話をつけていますが、絵本に関してはテキストがないくらいが理想だと思っています。
絵本は絵の本だから、ビジュアルコミュニケーションというのかしら。絵をそのまま見て、感じて、自由に解釈すればいいんじゃないかなと思います」