祖父母からの教育援助はどこまでOK!?  知っておきたい「贈与税」のこと


■1,500万円まで一括贈与が非課税になる「教育資金一括贈与制度」とは

実はこのような教育資金の一括贈与について、もらう側1人につき1,500万円までが非課税になる「教育資金一括贈与制度」という制度があります。通常の贈与の場合、非課税になるのは年に110万円までですが、この制度を活用すれば、祖父母が「孫のためにまとまった援助を」と言ってくれても税金がかからずに済みます。

ただし、この制度を利用するには、いくつかの条件があります。
1つ目は、贈与を受けたお金の使い道は教育資金に限られる、ということ。たとえ子どものためであっても、洋服代やおもちゃ代などには使用できません。対象となるのは入学金や授業料などのほか、通学定期代や給食費なども。塾や習い事の費用は500万円までなら対象になります。

2つ目は、制度を利用するためには金融機関に専用口座を開設し、きちんと申請を行わなければいけない、ということ。
お金を引き出す場合には、領収書などの提出も必要になります。申請方法はそれぞれの金融機関によって異なるので、一括贈与を考える場合は事前に銀行などで相談するとよいでしょう。

■意外なデメリットも!? 「教育資金一括贈与制度」の注意点

祖父母が「元気なうちに孫にまとまった援助をしたい」「援助の対象を教育資金に限定したい」などと考える場合はメリットになる、この「教育資金一括贈与制度」。

でも、思わぬ落とし穴もあるので注意が必要です。贈与を受けてから「こんなはずじゃなかった」ということにならないよう、デメリットもしっかり知っておきましょう。

まず、一括贈与されたお金は、贈与を受けた本人が30歳になるまでに使わなければ非課税の対象になりません。教育資金として使いきれなかった分は贈与税の対象になるため、たとえ範囲内であってももらいすぎには注意しなければいけません。

また、たとえ祖父母が援助を申し出てくれたとしても、祖父母自身の老後資金が足りなくなっては本末転倒です。
一括贈与をしたあとで「やっぱり返して」というわけにはいかないため、将来を計画的に考えることが必要です。

「教育資金一括贈与制度」は、一見すると非課税の範囲が大きくお得なようですが、人によっては毎年110万円までの贈与の方がメリットが大きいこともあります。祖父母が「孫に援助したい」と言ってくれたときには、よく話し合って、子どもにとって有益な方法を選びたいですね。


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