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東日本大震災が起きてから、今年で6回目の春を迎えます。時間が経過するとともに当時の記憶だけでなく、災害に対する意識も薄れてしまいがち。改めて必要なものをチェックすると同時に、意外と忘れがちなポイントをおさらいしましょう。
■被災地域への電話やメールを避ける
仙台市に住むOさんは、自宅マンションで被災しました。市の中心部だったため津波の被害はなく、家も無事だったそうですが、しばらく不自由な暮らしを強いられたといいます。今回はそのOさんの経験から、見落としがちなポイントを考えていきましょう。
地震が発生したとき、その大きさから「ただごとではない」と感じたそうですが、沿岸部の津波被害を知ったのは数日後だったといいます。
ラジオの準備はなく、ワンセグテレビを見たくても、バッテリーが減るのをおそれてすぐには使用しなかったそう。
「そればかりか、遠方の親戚や友人から安否確認の電話やメールが大量にきました。これもバッテリーを減らすことになるので、気持ちはわかるけれど避けてほしい」(Oさん・以下同)
災害時は伝言ダイヤルが開設されるし、SNS経由で連絡もできるので、直接の連絡はありがた迷惑になるようです。
これを機に、Oさん一家は家族がつながるSNSのアカウントを設定。もしものときにはこちらを経由して安否確認をするというルールを作ったそうです。
■オール電化ではなくても安心できない
電気が止まっても、ガスや水道が無事ならなんとかなる。オール電化の住宅以外ならそう思うかもしれません。しかし、Oさんのようにマンションで暮らしていると、水のくみ上げに電気を使用していることがあり、しばらく水道が使えなかったのだとか。
「まだ寒い時期でしたから、水だけでなく灯油も必要でした。
それを運ぶための容器はあったけれど、ポリタンクは重くて運ぶのが大変。非常時に備えて軽量タイプのものがあったほうがいいと思います。また、折り畳み式のカートを使っている人がいて、便利そうだったからうちでも買いました」(Oさん)
水道が使えないとなると、トイレの問題も発生します。ここで意外と役に立ったのが、猫のトイレ用の砂(猫砂)。近所の親戚が猫を飼っていて、在庫をわけてもらったそうです。人の糞尿に使うには物足りないけれど、「少しでも処理しやすくなるだけで、精神的に楽になった」とのこと。
猫砂の処理方法は自治体によって異なりますし、性能も商品によってまちまちですからあえて用意する必要はないでしょう。ただ、自宅にあるなら緊急時に活用できるかもしれませんね。
■インフラ再開後も苦難は続く
自宅が無事で、インフラが整えば、あとは不自由なく暮らせる! なんて思ったら大間違い。首都圏でも物不足に悩まされたように、物流がストップするとふだん通りの生活を送ることができなくなってしまうのです。
「まずは被害の大きい地域への衣食住の確保が優先されるし、お店も被災しているから日用品を買える場所も限られてきます。沿岸部の友人の話では、食料には困らなかったものの、歯ブラシなどは支給されなくて困ったそう。これは私も気づかなかったので、持ち出し袋に入れました」
生命の安全が最優先される状況で、歯ブラシを求めるなんて贅沢だといわれてしまうかもしれません。しかし、少しでも衛生的な生活を送りたいと思うのは当然のこと。避難所で支給されない可能性を考えて、自分で準備しておくといいでしょう。
■人間の本性がむき出しに!?
被災地では誰もが切羽詰まった状況です。まずは自分たちの暮らしを最優先させようと、行列に横入りしようとしたり、情に訴えて物資を分けてほしいと泣きつかれたりと、さまざまな人間の感情を見せつけられたといいます。
「緊急時だからこそ、その人の本性があらわれるのかな。でも、近所の人と助け合ったり、しばらく連絡をとってなかった友人が『必要なものがあれば送るよ!』と声をかけてくれたり、人の温かさにもふれることができました」
大変なときだからこそ、みんなで力を合わせて乗り切っていく。そのためにも、「面倒な近所づきあいも必要なんだ」と感じたそうです。
これはあくまで個人の体験談なので、同じ被災者でも状況や感じ方が異なることはあるでしょう。しかし、知識として覚えておいて損はないはず。自分が同じ境遇に陥る可能性を考えて、非常時に備えていきましょう。
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