103万円、130万円の壁って? 今後どう変わる? 知っておきたい「扶養」の知識

確定申告や年末調整の時期になると、よく目にする「扶養」という言葉。ママ友との会話で「扶養から外れないように働かないと!」なんて耳にしたことがある方も多いのでは?

目次

・そもそも「扶養」ってどういう意味?
・「扶養家族」って誰のこと?
・2016年10月から! 新たな「106万円の壁」とは?
・「扶養」の定義を理解して、これからの働きかたを考えよう


103万円、130万円の壁って? 今後どう変わる? 知っておきたい「扶養」の知識

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扶養家族になると税金や保険料がおトクだとはなんとなく知っているけれど、「ばっちり理解しています!」という方は少ないようです。

また、2016年には税額控除や保険料にかかわる大きな変更もありました。今回はそんな「扶養」について、基礎知識から今後の見通しまでわかりやすく解説します!

そもそも「扶養」ってどういう意味?

扶養とは本来「生活を助け、養う」という意味です。一般には、自力で生活するのがむずかしい子どもや高齢者、収入のない家族を「経済的に養う」という意味で使われます。

日本では一定の範囲の親族を扶養する義務があると法律で決まっています。扶養される人のことは「被扶養者」といいます。




■ママなら知っておいた方が得な場合も

この「扶養」について、なぜ知っておく必要があるのでしょうか?

すごく簡単にいえば、扶養家族になると「税金・社会保険料・年金」で免除してもらえるお金があるからです。ようするにおトクということ。

ただし、免除が適用されるためには範囲や条件が決まっています。具体的に見ていきましょう。

「扶養家族」って誰のこと?

会社員やパートタイマーの方は、年末調整や契約時などに「扶養家族の有無」を確認されたことがあるでしょう。扶養家族となるためには、収入面などで制限があります。

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つまり、よく耳にする「扶養の範囲内で働く」というのは、正確には「扶養控除、社会保険料と年金の免除対象となる扶養家族の範囲から外れないような収入で働く」ということです。

ここでポイントになるのが、扶養家族には「税法上の定義」と「社会保険の定義」の2種類があること。
それぞれに収入の限度額や親族の範囲がちがうので注意してください。

よく耳にする「103万円/130万円の壁」も、実はこの2つの定義に関係しています。次から詳しく見ていきましょう。

【定義その1】税法上の「扶養家族」とは?

扶養する家族がいると、所得税が軽減されます。これを「扶養控除」といいます。対象となる「扶養家族」の定義は、次の4つの条件すべてに当てはまる人です。


(1)配偶者以外の親族(6親等内の血族および3親等内の姻族)または都道府県知事から養育を委託された児童(いわゆる里子)や市町村長から養護を委託された老人であること


(2)納税者と生計を一にしていること


(3)年間の合計所得金額が38万円以下であること(給与のみの場合は給与収入が103万円以下)


(4)青色申告者の事業専従者としてその年を通じて一度も給与の支払いを受けていないこと、または白色申告者の事業専従者でないこと


参考:国税庁HP



■扶養控除と103万円の壁

たとえば高校生のお子さんがアルバイトをしていても、年間の給与収入が103万円以下なら扶養家族となり、家計を担っているご家族(父親や母親など)は所得税の負担が軽減されます。お子さんは養子や里子でもOKです。

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配偶者は扶養控除の対象ではありませんが、(2)~(3)の条件を満たしていれば「配偶者控除」の対象になります。ただし、事実婚(いわゆる内縁関係)は対象外です。

また、103万円を超えた場合も「配偶者特別控除」という制度で141万円までは極端に税額が上がらないようになっています。

ちなみに、フリーランスなど自営業の場合は、年間の収入から必要経費を差し引いた収入(事業収入)が「38万円以下」であれば控除の対象となります。




ただし、配偶者控除については2016年12月に与党税制協議会で「見直し」の方針が決まりました。

現状では103万円までの基準を150万円に引き上げて、150万を超えても201万円以下までは控除の一部を受けられるように変わります。

政府は2030年1月からの実施を目指していて、パートタイマーなどが103万円を超えても働きやすくなることを期待しています。

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【定義その2】社会保険の「扶養家族」とは?

社会保険料が免除となる「扶養家族」の範囲は以下のとおりです。


(1)主として被保険者の収入で生計を維持している3親等内の親族(内縁《事実婚》の配偶者含む)


(2)内縁(事実婚)の配偶者の父母と子


(3)内縁(事実婚)の配偶者死亡後の父母と子



ただし収入の制限があります。年収が130万円未満で、なおかつ被保険者の年収の1/2未満、別居の場合は被保険者からの仕送り額より年収が少ないことが条件です。

これらを満たせば「被扶養者」として保険料なしで保険に加入できるわけです。年金も同様の基準で、保険料が免除されます。

■社会保険料と130万円の壁

年収が130万円以上になると、被扶養者から外れてしまうため自分で社会保険に加入しなければなりません。これがいわゆる「130万円の壁」です。

ただし、以上は被保険者が会社員の場合です。

たとえば夫が自営業で妻がパートタイマーの場合、夫も妻も「国民健康保険」と国民年金の「第一号被保険者」に加入することになるので、保険の配偶者控除は関係ありません。

むしろ妻のパート先で保険に加入したほうが、保険料が安くなることも。



2016年10月から! 新たな「106万円の壁」とは?

実は、2016年10月から施行されている「厚生年金保険・健康保険の加入対象拡大」によって、もう1つ「106万円の壁」ができているのをご存知でしょうか?

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影響を受けるのは、おもにパートタイマーなどの短時間労働者です。具体的には以下の条件をすべて満たす方は、厚生年金と健康保険に加入しなくてはいけなくなりました(学生と75歳以上はのぞく)。

・週の決まった労働時間が20時間以上(※残業はのぞく)


・月額賃金が88,000円(=年収106万円)以上(※賞与、残業手当などはのぞく)


・勤務期間1年間以上の見込み


・従業員501人以上の企業に勤務(※2017年4月から500人以下でも労使協定で合意すれば対象に)



つまり、これまで年収130万円の範囲内で被扶養者として保険料を免除されていたパートや短時間の派遣で働く方も、勤務先で保険料を負担しなくてはいけなくなります。これが新たな「106万円の壁」です。

月々の保険料は家計にとって大きな負担なので、扶養の範囲を超えるかどうかは、悩みどころですよね。

■「扶養手当」と「扶養控除」のちがいとは

最後に「扶養控除」と混同しやすい「扶養手当」についてご説明します。

扶養手当とは、企業ごとに設定している「扶養する家族に対して支給される手当」のことです。法的な決まりはないので金額は会社によってまちまちですし、中小企業などでは手当がない会社も。

対象となる家族の年齢について「18歳まで」といった基準があったり、収入について年間103万円、130万円といった制限があったりします。詳しくは勤務先に確認しましょう。



「扶養」の定義を理解して、これからの働きかたを考えよう

政府が進める働き方改革や「女性活躍」といった流れを受けて、扶養控除の条件や扶養家族の範囲も変わってきています。今回ご紹介した現状と今後の流れをしっかりおさえて、これからのご家庭のマネープランや働きかたを考えてみてくださいね。

【主要参照URL】
No.1180 扶養控除|国税庁
No.1191 配偶者控除|国税庁
No.1195 配偶者特別控除|国税庁
被扶養者とは?|全国健康保険協会
国民年金第2号被保険者が、配偶者を扶養にするときの手続き|日本年金機構
平成28年10月から厚生年金保険・健康保険の加入対象が広がっています!(社会保険の適用拡大)|厚生労働省

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