2018年3月11日 12:00|ウーマンエキサイト

祈りこめた震災作品も。「自分を見失わない居場所はきっとある」村田朋泰の世界

目次

・説明をしつくさないことで、親子の対話が生まれる
・子どもに「自由に考えていいんだよ」と感じてほしい
・自分の気持ちが置き去りになる「速さ」と自分を見失わない時間
・コミュニケーションが苦手な僕がみつけた「居場所」
・自分自身が身を置く場所と別世界がとなりにある感覚
・東日本大震災をきっかけに何を伝えるべきなのか
「村田朋泰特集 夢の記憶装置」

『森のレシオ』©NHK・NEP・TMC


NHK Eテレの番組『プチプチ・アニメ』で現在放送中の人形アニメ『森のレシオ』や、Mr.Childrenのミュージック・ビデオ『HERO』。こちらのパペット・アニメ―ションを一度目にしたことがある方は多いのではないだろうか。

この2つの作品を手掛けたのは映像作家、村田朋泰さん。今回、彼の作品を集めた特集上映が開催されます。CGを使わず、アナログにこだわった温かみのある彼のパペット・アニメは世界から高い評価を受け、大人から子どもまでを魅了します。その作品に込めた想いを本人にききしました。

■説明をしつくさないことで、親子の対話が生まれる

「村田朋泰特集 夢の記憶装置」

「あのシーンはどんなことを感じた?」と親子で対話できる作品を作りたいと語る映像作家、村田朋泰さん


村田さんの作品は、たとえば大人だったら幼少期の記憶の扉をノックされるようで、ふと子ども時代の体験やあのとき抱いた感情がよみがえってきます。一方、子どもだったら、別世界に連れて行ってくれる、想像の世界を広げていくおもしろさがあります。その要因のひとつが、セリフを一切つけないことではないでしょうか。

――なぜ、セリフを一切つけないスタイルをとろうと思ったのでしょうか?
「村田朋泰特集 夢の記憶装置」

生と死にまつわる記憶の旅『木ノ花ノ咲クヤ森』©TMC


子どものときから映画が好きで、その影響が大きいかもしれません。僕が子どものころ、1980~1990年代の映画は、いまのように懇切丁寧な説明がないというか。セリフにしても極力省いて、基本的には“画”で見せる作品がけっこうありました。

“このことはこういうことなのかな”とか、“なんかわからないけど、すごく印象に残る”といったような解釈が自由で感覚に訴えかけてくる作品が僕自身好きで。そういうある意味、受け手に委ねるというか、受け手の感受性を信じている作品に心ひかれたんです。

説明できたり、へんに理解できた気になったりする作品よりも、正直よくわからない、でもなんか心に訴えかけてくるものを作りたいと思いました。だから創作活動をはじめたとき、言葉に頼るのではなく“画”でみせていくことに力点を置くようになっていました。

――言葉は大切ですし重要。でも、映像においては、束縛のひとつとなってしまうのかもしれません。村田さんの作品は、そこから解き放たれているのかもしれませんね。

もちろん僕自身がこのシーンには「こういう意味を込めているんだ」とか、「こういった気持ちが伝わればいいな」とか考えているところはあります。でも、それがすべてじゃない。解釈って人それぞれでいいし、正解なんてない。余白を与えることで想像をめぐらすことができる。セリフを使わないのは、その余白作りのひとつでもあります。

――いまのドラマや映画は、ともすると状況から感情まで言葉で説明していたりする。村田さんの作品は、もっと子どもの感性や解釈を信じて大人が大切にしてほしいというメッセージを含んでいるような気さえしてきます。
「村田朋泰特集 夢の記憶装置」

路ーROADー『白の路』©TMC


説明し尽くしてしまうと、お互いわかっているわけですから、話さなくても良くなってしまって、対話が生まれない気がするんです。それはそれで同じ思いを共有したことになるのかもしれないですけれど、僕の作品を親子でみてくれたら、親子で対話する時間ができてくれたらと思っています。そういう作品でありたい。

“あのシーンはどんなことを感じた?”とか、“あの子はあのとき、どんなこと考えてたんだろう?”とか、解釈を相手に委ねることで、会話が生まれる気がする。わからないならばわからないなりに考えて、そのことについて対話する方が豊かな時間になるような気がするんですよね。

■子どもに「自由に考えていいんだよ」と感じてほしい

「村田朋泰特集 夢の記憶装置」

生と死にまつわる記憶の旅『松が枝を結び』©TMC


今回の特集は、すごく子どもの想いを大切にした作品が多く見受けられます。

――創作の上で、子どもに向けて考えていることがあるのでしょうか?

先ほどの話につながるんですけど、小さな子どもがパパやママと会話ができる余白を残しておくことは大事にしています。

たとえば、学校の美術の授業で、運動会がお題目だったとします。すると、玉入れやリレーの様子とわかる絵を描いた人が正解でいい点数がとれる。でも、ほんとうは生徒一人一人で運動会の見え方も違うはず。へんな話、そのときの気分を色で表した抽象的な絵があったりしてもいい。そういうことを考える子どもの自由な発想を肯定してあげたい気持ちが自分にはどこかあって。

一定のルールではない、“自由に考えていいんだよ”と感じてもらえる作品にしたいなと常に思っています。目に見えることがすべてじゃない。この世の中には目に見えない世界もあって、思わずいろいろと空想する子どものイマジネーションを刺激するような作品になればなと思っています。


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