■志麻さん家の鉄則その3:下準備を怠らない! 手早くおいしく作るコツ
――仕事を終えて帰宅後、短時間で作るとなると、メニューや味が偏ってしまいそうですが…。
志麻さん:そうならないためにも、手抜きはせず、ポイントを押さえながら調理することが大切になってきます。なんだか難しそうに聞こえるかもしれませんが、コツさえつかめば、誰でも時間をかけずにおいしいごはんを作ることができるんですよ。
――具体的にどんなことに気をつければよいのでしょう?
志麻さん:まず心得ていただきたいのが、下準備には一つひとつ、ちゃんと意味があるということです。
例えば、食材の切り方をすべてそろえるのは、火の通りと食感を均一にするため。肉や魚の水気をふいて、塩・こしょうをしてから調理するのはくさみを取るため。
ちょっとしたことですが、こうした作業を惜しまず丁寧に行うことで仕上がりの味がバシッと決まり、結果的には調理の時間短縮につながるんです。
同書で紹介している「シャキッと野菜炒め」でも、しめじのサイズに合わせて、ほかの食材を切りそろえています。
「シャキッと野菜炒め」
志麻さん:余談ではありますが、切り方はそろえるときとあえてそろえないときがあります。
例えば「じゃがいもカレー」の場合。我が家ではじゃがいもは大きめと小さめ、2種類の切り方にします。大きめに切ったじゃがいもはホクホクに、小さめに切ったじゃがいもは溶けてトロトロになるので、一皿でいろいろな味わいが楽しめます。
ちょっとしたことですが、こうすることで味のマンネリを防ぐことができるんですよ。
カレーを作る際に、ぜひ試してみてください!
「じゃがいもカレー」
志麻さん:調理の順番も手早く作るうえで重要なポイントです。よく、すべての材料を切って(整えて)から調理に入るように書かれているレシピ本がありますが、時間のロスになる場合もありますし、必ずしもその通りにしなければならないということはないかなと思います。
それよりも、何かを炒めている間に別の食材を用意するなど、隙間時間を有効に使いましょう。
レシピ本のとおりに作るのも悪くはありませんが、ときにはいったん本から離れて、自分の頭で考えながら作ることも大切です。失敗することもあるかもしれませんが、手を動かしていくうちにムダのない調理法がだんだんと身についていくはずです!
■志麻さん家の鉄則その4:市販の「〇〇の素」も使う! 一気に味のベースを作る
――味つけでのコツというのはありますか?
志麻さん:よく驚かれるのですが、我が家では市販の合わせ調味料やスープの素などを活用することもあります。本格的な味を一から作ろうと思ったら、それなりに食材や調味料、時間も必要になってきます。
でも、仕事帰りの疲れた体には、そこまで作る気力はありません。だから、あらかじめ味のバランスがとれている市販品をベースに使い、そこに調味料や食材をちょい足しして、オリジナルの味を楽しみます。
たとえば「コーンスープドリア風」。これは市販のコーンクリームスープの素を使用した一品です。コーンクリームスープの素があれば、あとはごはんやベーコン、とろけるチーズなどを用意すればあっという間に濃厚ドリアのできあがり。これなら小さなお子さんも喜んで食べてくれるはずです。
「コーンスープドリア風」
このように、ちゃちゃっと作るにはアイデアや工夫も大切です。ぜひ楽しみながら日々の献立づくりに励んでください。
たしかに、作り置きを用意するためには、それなりの時間が必要になってきます。でも、せっかくの休日を作り置きするだけの日にしたくはありませんよね。
だったら、普段の献立や調理を見直して、志麻さんのようにもっと手軽に短時間で作るように心がければ、忙しい日も楽しく食事の用意ができるかもしれません。試してみる価値あり、ですね!
引き続き後編では、一児のママでもある志麻さんに、ふだんの自宅レシピをアレンジした離乳食や幼児食、さらにイベントやお祝い事にも応用できるパーティーメニューのコツをうかがいました。
参考図書:
『「作り置き」よりカンタンでおいしい! 志麻さんの自宅レシピ』(講談社)
志麻さんが仕事から帰って、30分以内にちゃちゃっと作って食べたレシピを中心に76レシピをご紹介。使われている食材は近所のスーパーの特売肉や、特売野菜、冷蔵庫の残りものなど身近なものばかり。そんな普通の食材をおいしく生まれ変わらせるためには、志麻さんの長年のシェフ経験を生かした調理ポイントに秘密があった!? レストランの味わいを、ぜひ自宅でご堪能あれ。
取材・文/長谷部美佐
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