イラスト:なきりエーコ
「貯金をしたいのなら、『貯金簿』で、貯金力をチェックすることが早道」と言うのは、ファイナンシャルプランナーの畠中雅子さん。では、年間、いくらくらい貯金できていれば及第点なのでしょうか? 今回は、そんな、「王道のお悩み」について伺ってみました。
■年間いくら貯金すればいいのか?
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「年間、
いくらくらい貯金すれば大丈夫なのでしょうか?」という質問、とても気になりますよね…。これに対しての畠中さんの答えは至ってシンプル。
「現状いくら貯金できているかによります」(畠中さん)
つまり、「まずは、現状をチェックしてみることが大切だ」ということです。ただ、貯金目安と数字としては、
年収(手取り)の10%~20%を貯金できていればOK!
共働きで20%貯めていると、「がんばっている人だと感じます」(畠中さん)とのこと。
「大事なのは、『目標金額を、いくらにすべきか?』ではなく、『
設定した目標額に、いま、自分がどれだけ届いているか?』を、確認することです」と、畠中さんは言います。
前述の数値は、あくまでも一般的なもの。「目標設定金額が、現状とかけ離れていたら意味がありません。達成不可能な目標は、設定していないのと同じだからです」(畠中さん)
アイタタタ! 達成できないダイエット目標を掲げがちな筆者は、とても耳が痛いです。
「目標を掲げること」で、じつは、「本来、見つめなければいけないこと」から、目を背けていること、自分でも薄々わかっていますから…(涙)。
■貯金の目標金額は? 貯蓄力の育て方
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では、貯金の目標金額は、どのように設定すれば良いのでしょうか? 畠中さんは、「貯金簿で直近1年間の増減額を把握し、
1.2倍にしてみましょう」と、教えてくれました。
たとえば、年間36万円貯金できている人なら、43万円が次なる目標です。月にならして考えてみると、「6千円増」と言い換えてみると、何だかできる気がしてきませんか?
このようにして、「いまより少しハードルを上げる」というイメージで、ゆっくりと確実に目標をクリアしていけると良いですね。でも、こう考えてみると、無理をしないので、ラクそうです。
■FPおすすめの節約の近道とは?
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ところで、節約をするために、家計簿をつけるよりも手っ取り早い方法があるって、知っていましたか? 「それは、
特別支出を見直すことです」と、畠中さん。
特別支出とは、次の例のように、毎月かかるわけではないものの、ほぼ毎年、あるいは一定期間ごとにかかる費用のことを言います。人によっては、年間50万円、100万円といった大きな金額を占め、大規模リフォームや車の買い替えのような特別支出がかさむ事情が重なった年は、家計の半分が特別支出ということもあります。
▼特別支出の例
■1回の工夫で効果が出る家計見直し術
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▼「1回に支払う金額が大きい」から!
畠中さんは言います。「家計簿をつける目的でもっとも多いのが、『食費を減らすため』というものですが、月に1万円、年間12万円節約できれば良いほうです」と。一方で、本気を出して特別支出を見直せば、
一回の工夫でもっと多くの支出を削ることができる場合もあります。
▼貯金を取り崩しがちだから
特別支出は金額が大きく、かつ不定期に発生するため、支払いのために貯金を崩しがちとなります。家計簿で毎月かかる生活費をしっかり把握していても、肝心の口座残高が減っていては、目標の貯金額は遠のいてしまいます。
特別支出は、次のように先の予定を月ごとに書いておくと管理しやすくなります。
▼特別支出を管理するための予定表の例
お金のことで精神的につらいのは、「自転車操業」をしている気分になること。畠中さん自身、「まとまった請求が来るたびにお金をおろしに行っていると、心も体も疲れてしまいます(私もそうでした)」と、おっしゃっていました。
あらかじめ特別支出を把握し、「お金の支払い準備」が計画的にできるようになると、精神的にも資金繰り的にも、すごく楽になりますよね。
■なかなか貯められない人のための便利なサービス
ラストは、畠中さんに教えていただいた「なかなか貯められない人のための便利なサービス」をご紹介します。
▼なかなか貯められない人のための便利なサービス
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●定額自動入金サービス
指定した銀行口座から決まった金額を毎月引き落とし、貯金に充当してくれるサービス。住信SBIネット銀行やソニー銀行、ジャパンネット銀行、じぶん銀行などが提供
●財形貯蓄
「財形貯蓄には複数のメリットがあるので、制度がある会社ならば、私はぜひ利用するべきと考えています」
メリット例としては、「財形貯蓄を利用すると奨励金がつく場合がある」などです。18歳以下のお子さんがいるご家庭が、財形持ち家融資を受ける場合、5年間、金利優遇が受けられます(2019年3月末までの申し込み。延長の可能性あり)
出典:『ラクに楽しくお金を貯めている私の貯金簿』より抜粋
財形制度に関しては、「昔に比べて、制度自体を知らない人が多くなったように感じます」と、畠中さん。
大企業だけではなく、中規模の企業でも導入しているケースもあるので、勤務先に財形制度があれば、ぜひ、利用方法や条件を調べてみてください。
「利用者が少なくなった影響なのか、財形制度の条件が、以前よりも良くなっている印象です。たとえばわが家では、財形年金貯蓄で年間3万円の奨励金をもらっていますよ」(畠中さん)
いかがだったでしょうか? 筆者は、本連載を通じて、「貯金の早道は、自分の貯蓄力を把握することからだな」と、感じました。自分の貯蓄力を理解しないまま、やみくもに貯蓄を増やそうと思っても、うまくいかなかったり、長続きしなかったりする可能性があります。この特集が、皆さまのご自身の「貯蓄力」を把握するキッカケとなることを祈っています。
【ラクにお金が貯められるポイント】
1)「目標金額」より、「目標額にどれだけ届いているか?」が大事
2)節約の早道は、特別支出の見直しから
3)貯金は便利なサービスを使うことも大切。財形貯蓄制度のチェックを!
■今回のお話を伺った畠中雅子さんのご著書
『ラクに楽しくお金を貯めている私の貯金簿』
(畠中雅子/ぱる出版 ¥1,500円(税別))
大人気ファイナンシャルプランナーの畠中雅子さんによる、まったり楽しい貯金ライフと、お金回りの知っておきたいことをまとめた1冊。よくあるシビアで苦痛なマネープランや家計簿は止めて、3ヵ月ごとのノート付けで簡単に資産管理が可能になります。
畠中雅子さん
ファイナンシャルプランナー(CFP)、マネーエッセイスト。新聞、雑誌などに連載を持つほか、講演、金融機関へのアドバイザー業務など、常に第一線で活躍するファイナンシャルプランナー。生活実感あふれるお金のアドバイスには、定評がある。
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