連載記事:子どもが変わる、夫婦も変わる会話術
「夫とはけんかばかり…」夫婦仲が良くなる会話3つのヒント、3つの言葉【子どもが変わる、夫婦も変わる会話術 第2回】
イラスト:龍たまこ
夫婦の会話は、子どもの成長に大きく影響を与えるもの。さらには、家庭そのものを左右するもの。
でも、夫か妻のどちらか一方だけが「今日から変わるぞ!」とひとりで意気込んでも空回りしがちです。どうしたらいいのでしょう?
『賢い子を育てる 夫婦の会話』(あさ出版)著者の天野ひかりさんに、夫婦のコミュニケーションをもっとらくにするヒントを教えていただきました。
お話をうかがったのは…
「NPO法人親子コミュニケーションラボ」代表
天野ひかり(あまの・ひかり)さん
NHK「すくすく子育て」元キャスター、現在はフリーアナウンサーとして活躍中。自身の結婚、出産、育児と仕事の両立を経験したことで子育ての重要性を認識。「NPO法人親子コミュニケーションラボ」を立ち上げ、子どもの自己肯定感を育むための、親子のコミュニケーションを力をのばす講座や講演を全国で行う。ベストセラー『子どもが聴いてくれて話してくれる会話のコツ』(サンクチュアリ出版)著者。
天野ひかり公式サイト
http://www.amanohikari.com/
■「夫婦の会話がない」という悩み、実は思い込み?
――忙しい夫が夜遅く帰ってきて、せいぜい言葉を交わすのは5分程度…。そんなふうに感じている人は多い様子です。
天野ひかりさん(以下、天野さん):「夫婦の会話がない」と悩んでいる方は確かに多いですね。でも、本当にそうでしょうか? よくうかがってみると、なぜか子どもに関することは“夫婦の会話”ではない、と思い込んでいる方も多いのです。
たとえば、「夫婦で話すことといえば、子どものことくらいです」という方がかなりいらっしゃいますが、いえいえ、子どもの話題も立派に夫婦の会話なんですよ。
「今日、こんなことが学校であったんだって」「へえ、頑張ってるね」…これも立派に夫婦の会話。恋人時代のような甘い内容だけが夫婦の会話とは限りません。夫婦になって子どもができたら、会話が変わるのは当然なのです。
――なるほど…。子どものことなら、けっこう話しているかもしれません。
天野さん:「夫婦で共通の話題がない」「夫婦の会話が盛り上がらない」といった言葉もよく耳にしますが、なにもきちんとした“お題”がなくてもいいのです。
日本人は律儀なところがあるので、会話には「目的」や「お題」があってしかるべき、と思いがちです。
でも、「今日は蒸し暑かったね~」「明日はちょっと涼しくなるみたいだよ」…こんな、何気ない言葉のやりとりも会話。なにか話さなくては、話題を提供しなくてはと意気込む必要はないのです。
――意気込まずに、夫婦の会話を変えるヒントって、あるのでしょうか。
天野さん:まず、あらためて「家族になっていこう」という意識を再確認しましょう。
「こうしてほしい」という要求や不満ばかりを相手に押しつけるのではなく、「もっと家族になりたい」という気持ちを相手に対してもてれば、会話が弾もうが盛り下がろうが、どちらでもいいかなと私は思っているくらいです。
たとえば、2人でなにかを食べながら「このアイス、すごくおいしいね」といった「共有」もすてきですよね。肩に力をいれず、自然に会話を楽しめばいいのです。お互いの根底に「家族」という意識があれば、さり気ない会話でも気持ちに深みが増すものなのです。