パリの新たな美術館「ブルス ドゥ コメルス」って知ってる? 安藤忠雄による内装にも注目【From cities 世界の都市に憧れて vol.11】
今回は、その一部をピックアップする。
館内に入り、すぐに心奪われるのは、自然光に包まれる中央円形空間。現在、このスペースには、スイスの現代ビジュアルアーティスト、ウルス・フィッシャーのインスタレーション作品が群を連ねている。
中央のルネサンス彫刻の模倣(原作はフィレンツェにある、ジャンボローニャによる作品)も、ジャケットを着た男の像も、椅子も、これらの作品は、なんとすべて“ロウ”製。加えて、展示中、それらには蝋燭の如く火がつけられ、少しずつ溶けて形がなくなっていくという、斬新な演出も込みで我々を出迎えるのだから驚く。館がオープンしてから約3週間後のある日には、まだ一部しか溶けていなかったルネサンス彫刻像の女性の頭部も、ジャケットを着た男の像の頭部も、さらにその2週間後には、すっかり溶けて元の形ではなくなってしまっていた。これをみて、何かを思わずにはいられないだろう。そんな、エキセントリックな作品をも扱う美術館なのだ、ここブルス・ドゥ・コメルスは。
初っ端からいわゆる美術館の展示とは異なるアートに出会いつつ、その他にも興味深い作品が多数そろう。
1階の別室には、フランスで初公開となるアメリカ人アーティスト、デビッド・ハモンズの30点程の廃材利用のオブジェが。