2016年5月17日 17:00
☆(5月18日公開)【サスティナブルな社会科見学】吉野の風土で、ここでしかしか作れない酒を。循環する木の物語--vol.3
づくり「酒母」とは仕込み前に後工程で合わせるもろみの発酵を促す酵母菌を培養する作業で、「麹室でつくった麹米+蒸し米+水+酵母」が基本セット。ただ、橋本さんはここで酵母を無添加にすることに踏み切った。3年間お世話になった剣菱酒造での「酵母は探すものではなくつくるもの」という、これまでの常識と180度違う発想に感銘を受けたからだという。木桶の中でぶくぶくと発酵する酵母無添加の酒母酒母をあえて四季折々で条件が変わる厳しい環境に置き、それでも発酵してくるのが「この蔵の酵母菌」となる。吉野杉の木桶は山守の中井章太さんたちとのプロジェクトその後、三段仕込みを行い、もろみ発酵などの工程を経て清酒となる。ちなみに、美吉野醸造では、一般的な酵母添加の製法で醸すお酒もあるが、いまは出荷の7割がこの酵母無添加のお酒だという。■さらにワイルドな水もとまた、美吉野酒造では、めずらしい水もとという醸造方法を取り入れている。室町時代に奈良市菩提山町の正暦寺でつくられたこの酒が清酒のルーツとされ、まさしく日本酒発祥の地・奈良にふさわしい酒づくりの原点とも言えよう。
この酒母のつくり方はさらにワイルドで、生米を水もとにひたして腐らせることで発酵に導くという、腐敗と発酵ギリギリのライン。