モードにも“デジタル”、“エコ”、“女性活躍”のキーワード【2017年春夏コレクション考察--横井由利】
一概にモードといっても、そこには経済的、社会的、科学的、文化的な背景があり、それが作用しながら新しいコレクションは誕生していく。モードは世の中の現象と連動しながら進化しているといえるのだ。世の中で起きている事象や人々の思考がどちらを向いているかを察知する力がデザイナーは求められる。デザイナーは自分のアンテナが示す方向に従い、クリエーションを行い新作に昇華していく。それを繰り返しながら、時代が求めるモードは形作られるのだ。今シーズンのコレクションにも、社会的な動きが反映した「デジタル」「オーガニック」「エコフレンドリー」「女性活躍」4つのキーワードが浮かび上がってきた。世の中の動きと連動しながらモードはどこへ向かおうとしているのか考えてみた。◇クチュール・ミーツ・デジタル■CHANEL(シャネル)クチュールメゾンには、フランスの伝統工芸を文化として継承する役目がある。
現にシャネルは、フェザー、帽子、ボタン、靴などの工房を傘下に置き、その工房の職人の技を途絶えさせることなくメチエダールコレクションとして新作を発表している。これはシャネルによる社会貢献、文化貢献の形といえる。そうしてクチュールメゾンは伝統を継承するだけではなく、新素材の開発やハイテク技術の革新が、今後の存続には欠かせないことを熟知し、常に新しい時代の職人を育てているのだ。