須藤玲子の代表作「扇の舞」も国内初公開。茨城県近代美術館で茨城にゆかりのある現役作家を紹介する個展開催
の形状から日本では祝い事に欠かせないかたちです。扇は古くから「あおぐ」という本来の機能に留まらず、狂言では杯に、落語では蕎麦を啜る箸へと姿を変え、お茶席では自らの膝の前に置くことで結界を表すなど様々な役割を担ってきました。須藤はそんな扇を日本文化の多義性を象徴するものとして作品にとりあげ、同じく古くから日本の暮らしを彩ってきた「青」で表現をしています。1890年に来日したラフカディオ・ハーンは後に日本の印象について次のように述べています。「青い屋根の下の家も小さく青い暖簾を下げた店も小さく、青いキモノを来ている人々も小さい。」日本は紛れもなく青い国だったのです。
扇に使用されているNUNOのテキスタイル《ティギー》2003
扇に使用されているNUNOのテキスタイル《ラメ・ぼたん雪》2017
Photo:Masayuki Hayashi
扇に使用されているNUNOのテキスタイル《スイング四角》2008
Photo:Masayuki Hayashi
伝統と最新テクノロジーをつなぐNUNOの仕事
扇に使用されているテキスタイルはNUNOのアーカイブから厳選されたもので、そのひとつひとつに須藤が永年にわたり取り組んできた実験的で意欲的な布づくりの成果が表れています。