手作業で美しく仕上げられた文字盤と針。スイス時計ブランド「ヴティライネン」
精密な調整を求められますが、実用的な脱進機です。ヴティライネンのダイレクトインパルス脱進機はアブラアン・ルイ・ブレゲのナチュラル脱進機を発展させたものであり、その大きな違いは、磨きなど仕上げの有無・パレットやガンギ車の形状・拘束角(振り角に影響)にあります。
ヒゲゼンマイは高精度実現のために複雑な形状をしています。通常の平ひげのヒゲゼンマイにおいては、テンワ重量の不均衡による天真のずれや、姿勢差による重心位置の移動が、精度に影響を及ぼします。その解決策としてヒゲゼンマイの外周や内端を調整することが有効です。例えば、外周の調整として巻き上げヒゲ(ブレゲひげ)が有名であり、内端においてはグロスマンカーブがあります。巻き上げヒゲを採用する時計会社は多いのですが、「ヴティライネン」は外周のブレゲヒゲ、内端のグロスマンカーブの両方を採用し、自社で加工しています(それぞれフィリップ外端カーブ、グロスマンタイプヒゲと表記)。高度な職人技が、高精度を実現しているのです。
■タカシマヤ ウオッチメゾン 東京・日本橋展示中のモデル
Vingt-8 28SC センターセコンド(2020年新モデル、GPHG2020メンズ・ウオッチ部門グランプリ受賞)