京都で“リアル廃墟”お化け屋敷「たろうちゃんのわすれものファイナル-死条河原町-」シリーズ最終作
「都市伝説?」
「しかもさ、なぜか捜索願が一つもでないの。いなくなった途端、行方不明者の記憶をなくすからなんだって。——あ、そうだ、確かこの辺りなんだけど……」
京都に、ある噂が広がっていた。
「夏になると、人が消える」
ある場所に廃屋の地下室があり、その付近で行方不明者が続出しているようだった。
楽しそうに噂話をする二人の女子高生の前で、髪の長い女性が何かを探していた。
「たろうちゃん……たろうちゃん……」
二人は足を止め、何かを探す髪の長い女性に話しかけた。
「何かお探しですか?」
「あぁ、ご親切にありがとうございます。実は、私の息子が……。
小学生の男の子です。たろうと言う名前で……そう、たろ……あれ?なんでしたっけ。すみません、なんでもないです」
髪の長い女性はそう言うと、何もなかったかのように去っていった。
「今の……」
「だよね」
「……」
「記憶をなくす……ってやつじゃない?」
「だよね」
二人が顔を見合わせていると、生暖かな風が頬にあたり、
重い鉄扉が冷たい金属音をあげながら閉まった。
「……」扉の向こうから微かに物音が聞こえるー
二人は誘い込まれるようにその鉄扉に向かって行った。