2021年10月14日 15:40
特別展「京に生きる文化 茶の湯」京都国立博物館で - 茶の湯の名品が一堂に、その歴史を紹介
さらに、茶の栽培の広がりにともない、室町時代後期には喫茶は庶民のあいだにも浸透していった。
唐物道具がもてはやされる一方、日々の暮らしのなかにある道具を使用し、簡素簡略を本とするわびの精神から、「わび茶」が生みだされた。町人の経済活動に支えられて発達したわび茶は、千利休によってさらに発展。織田信長や豊臣秀頼といった天下人をも魅了し、武将たちはこぞって名物茶道具を集めるようになる。
利休や秀吉が活躍した後の時代には、武家、公家、僧侶、そして町人それぞれの立場において、茶の湯が展開。さらに江戸時代、中国との交流から、煎茶をはじめと新しい文化も伝来。江戸中期頃には、京都・宇治地域における製茶技術の向上から良質な茶葉が作られるようになるなど、喫茶文化はますます多様化していった。
本展では、洛北の高雄で茶を楽しむ人びとの姿を描いた狩野秀頼筆《観楓図屏風》(国宝)、利休存命中に描かれた唯一の肖像画《千利休像》(重要文化財)、秀吉が愛用したとされる《大井戸茶碗銘筒井筒》(重要文化財)、名工・野々村仁清による《色絵若松図茶壺》(重要文化財)、そして桃山時代を代表する名碗《志野茶碗銘卯花墻》(国宝)