2022年9月12日 08:00
フランス映画『あのこと』中絶が違法だった時代、望まぬ妊娠に苦悩する大学生描く“体験型”映画
映画体験をもたらす。
監督はオードレイ・ディヴァン、原作はアニー・エルノー『事件』
監督を務めるのは、本作をきっかけに世界中から注目を集めるオードレイ・ディヴァン。原作は、アニー・エルノーが自身の実話を基に書き上げた小説『事件』だ。尚、アニー・エルノーは、日本時間2022年10月6日(木)、ノーベル文学賞受賞が発表された。
〈アニー・エルノーから映画『あのこと』への手紙〉
映画『あのこと』を鑑賞し、私はとても感動しています。オードレイ・ディヴァン監督に伝えたいことはただ一つ。「あなたは真実の映画を作った」ということです。
ここでいう真実味というのは、法律で中絶が禁止され、処罰されていた1960年代に、少女が妊娠することの意味にできる限り、真摯に近づいたという意味です。
この映画は、その時起こったことに、異議を唱えるわけでも判断を下すわけでもなく、事実を劇的に膨らませているわけでもありません。オードレイ・ディヴァンには、1964年のあの3ヶ月間に私に起きた残酷な現実のすべてを、臆せず見せる勇気がありました。また、「23歳の私自身」でもあるアンヌを演じるのは、アナマリア・ヴァルトロメイ以外には考えられません。