2021年10月3日 10:00
年を重ねるというのは、会ったことのない自分に出会っていくこと 嘆くのではなく、面白がる
不動産の価格はどんどん上がり、都心のマンションの家賃もずいぶん高いという印象がありました。
まだ駆け出しの作詞家で、果たしてその先やっていけるのかどうか。2年間の広告代理店勤めで蓄えた少しばかりの貯金で小さなワンルームの部屋を借り、夢とやる気だけを抱えた船出となったのでした。
今頃、なぜ30数年前のことを思い出したのかと言うと、ちょうどその頃に撮った、なくしたと思っていたアーティスト写真が書類の中から出てきたのです。
少し上目遣いでカメラを見据えている26歳。ひとり暮らしを始めた頃の自信のなさと、怖さを知らない強さのようなものが同時に感じられて、ずいぶん遠くまで来てしまったなあと思ったのでした。
怖さを知らない強さを過ぎ、怖さを知らない怖さを味わい、そして少々の怖さを何とも思わなくなり……今は、本当の怖さをまだ味わっていないのではないかと思うこともあるのです。年を重ねるというのは、会ったことのない自分に出会っていくこと。
体の変化も心の変化も、どんなことにチャレンジするのかもまだわかりません。
確実に言えるのは、これまで体験してきたこととは違うフェーズに入っていくということ。それも嘆くのではなく、面白がるしかありません。