2021年10月17日 11:32
私たちの心には、『物語』が必要 恐れや悲しみを受け入れるために、心の奥にパラレルワールドを描く
吉元由美の『ひと・もの・こと』
作詞家でもあり、エッセイストでもある吉元由美さんが、日常に関わる『ひと・もの・こと』を徒然なるままに連載。
たまたま出会った人のちょっとした言動から親友のエピソード、取材などの途中で出会った気になる物から愛用品、そして日常話から気になる時事ニュースなど…さまざまな『ひと・もの・こと』に関するトピックを吉元流でお届けします。
『物語』が心を守る
「恐れや悲しみを受け入れるために、物語が必要になってくる」
臨床心理学者の河合隼雄さんと作家の小川洋子さんの対談本『生きるとは、自分の物語を作ること』(新潮文庫)の中で、お二人はこう話されています。
作家の柳田邦夫さんの息子さんが脳死状態となり、亡くなります。臓器提供を希望していたことから息子さんの臓器は必要としている人へ移植されることになります。
そのとき柳田さんは、息子の命がどこかで引き継がれたのだと思う。こう思うことによって、受け入れがたい現実と折り合いをつけようとする。これが、私たちが作り出す『物語』です。
SNSで多くの面識のない人たちとつながります。友人たちともつながります。
Facebookを始めて7、8年経ちますが、何人もの友人たちが旅立って行きました。