2021年10月24日 12:56
私たちは日々足跡を残しながら生きている 一期一会の出会いも、もしかしたら足跡になるかもしれない
吉元由美の『ひと・もの・こと』
作詞家でもあり、エッセイストでもある吉元由美さんが、日常に関わる『ひと・もの・こと』を徒然なるままに連載。
たまたま出会った人のちょっとした言動から親友のエピソード、取材などの途中で出会った気になる物から愛用品、そして日常話から気になる時事ニュースなど…さまざまな『ひと・もの・こと』に関するトピックを吉元流でお届けします。
『足跡』を残すということ
先日、急逝した画家の友人のアトリエを訪ねました。ご家族のご好意で、絵を譲っていただけることになったのです。
亡くなった後に、何箇所かに保管してあった作品をまとめたのか、アトリエは膨大な作品で埋め尽くされていました。天井に届きそうな大作も数多くあり、その仕事量に圧倒されました。
どれだけのエネルギーと情熱で制作に取り組んでいたのか。いつも穏やかな友人の中にあったであろう表現への思いを垣間見た気がしました。もちろん、それは私の想像など及ばないものだと思います。
引き出しの中には、描きかけのスケッチやモチーフを描き出したものなどがぎっしり入っていました。
それは、友人の『息吹き』でした。
完成させるまでの思考、彼の中から出てきたモチーフたち。