2022年2月20日 11:21
スープには心まで満たしてくれる、ほっこりの癒しの魔法がある
童話の『三匹のくま』に、お父さんくま、お母さんくま、こぐまの三つのスープが出てきます。お父さんの大きなお皿に入っていて熱々。お母さんのスープは中くらいのお皿に入っていて冷めている。
こぐまのスープは女の子にちょうどいい大きさで、ちょうどいい温かさ。女の子はこぐまのスープを飲んでしまいます。
小さい頃にこのお話を読んだときも、娘に読み聞かせをしたときも、『スープ』という響きに命を守るというイメージが広がりました。
日頃食べているにもかかわらず、何か特別大切なもののように思えたものでした。
料理研究家の辰巳芳子さんは、命に向けられた『スープ』を提唱されます。良い素材を使い、丁寧に丁寧に仕上げていく。手間を惜しまない。
丁寧さや手間をかけるのは自分の心を整え、心を込めることなのです。
「愛する者のために、トマトを買ったり、煮たり、そんな日々は、思うより短いのです」
父親のためにガスパチョを作ったときのことについて、インタビューの中でこう話されています。
手軽に、手短に、簡単に、時短で……と、料理も合理性が求められている中、辰巳芳子さんの言葉は大切なことを思い起こさせてくれます。