2022年9月18日 11:03
寛容さが失われ、白か黒かで分断していく 日本は、今、岐路に立たされている
そこには精神性も反映されるでしょう。
白か黒。善か悪。物事を二極で判断せず、その間の緩衝地帯もあるのではないかといにしえの人は考えたのではないでしょうか。
これをある意味優柔不断と見るのか、おおらかさ、優しさと見るか。
自然に畏敬の念を持ち、自然によって生かされていると考えていたいにしえの人たちは、「白か黒」ではないものが見えていたのだと推察します。
地震、噴火、台風……多くの自然災害に見舞われ、復興を繰り返してきたことで、日本人の忍耐力、受け入れる力は培われたと考えられています。
そこには、白か黒で判断できるようなことも、善か悪で判断できることはなかった。
自然に生かされている。その自然が猛威を振るう。そこで生きてきた人間は、謙虚に平伏すしかなかったのではないでしょうか。
また、日本人は『割れ』や『欠け』の中にも美を見出していました。金継ぎという修復は、『修理』ではありません。
『割れ』や『欠け』に漆と金を施すことで、また美を作り出していく。言ってみれば、『失敗』を許し、『失敗』を美へと進化させることです。
これもいにしえの人たちの精神性から生まれた文化だと思います。